スタッフ日記 | 渇!仏像盗難相次ぐ

平成22年11月1日(月)

この世に救いを求めるからなのか、いまかつてないほど仏像ブームが過熱化しています。100万人を動員し、いまも地方巡業中の「阿修羅展」。仏像に熱中する「仏像女子」なども登場して、老若男女、仏像ファンが増えてきました。尼寺が経営する珍しい保育園に通っていた私も、実は昔から仏像ファンです。

しかしそのブームのかげで、各地で仏像盗難が相次ぐという深刻な事態も起きています。特に和歌山県内では今年に入ってから仏像の盗難が相次いでいるそうです。和歌山県は京都や奈良に近いことから、何気ない小さなお寺や村の自治体の倉庫など、鍵もかからない場所に、多くの仏像が安置されている仏像ファン垂涎の地ともいわれ、いつか行ってみたい地域の一つです。被害は今年に入って9月までの時点で20件、65体にものぼると言います。盗まれた仏像は個人で所有するというより、組織的に仏像を盗んで、高値で買い取る人に売っているようです。

先日、東大寺大仏の足元から明治期に出土した太刀2振りが、実は東大寺を創建した聖武天皇(701~756)の遺愛品である「陽寳劔(ようほうけん)」「陰寳劔(いんほうけん)」だと判明したそうです。この太刀は、正倉院の宝物で、1250年にわたって行方が分からなかったそうですが、これで歴史の記述が正しかったことが証明されたわけです。、何ともロマンのある話ではないでしょうか?

古い歴史書に書かれたことが、発掘された仏像や財宝などからわかるのですから、仏像はやはり盗んではいけないのです。煩悩をかかえた多くの人が拝めるように。      (フロッグ東本)